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「地域に飛び出す市民国際プラザ」 団体活動インタビュー

◆ESD・市民協働推進センター((特活)岡山NPOセンター)
  (岡山県岡山市/2020年7月27日@ZOOM オンライン)

 岡山市を中心に活動するESD・市民協働推進センター。NPO法人岡山NPOセンターが同市と契約し、「協働」をキーワードとする委託事業に取り組んでいます。今回、市民国際プラザでは、高平亮ESD・市民協働推進センター長(岡山NPOセンター所属)から、同センターの事業概要や設立経緯、新型コロナの感染拡大下でのセンターの活動状況などについて、オンラインでお話を伺いました。


                             

           ↑市民と行政が対等に協議するワークショップ
                  

1. 協働の実現を目指して

 

20164月から施行された「岡山市協働のまちづくり条例」。その第8条には以下の条文があります。

 

第8条 市は、多様な主体をつなぎ協働を推進するため、コーディネート機関を設置するものとする。

 

ESD・市民協働推進センターは、この条例改正によって正式にその役割が規定されました。高平さんを始めとする同センターに所属する職員の皆さんは、岡山市で活躍する「多様な主体」をつなぎ、「協働」を推進するコーディネート機関の一員として、職務に励んでいます。

 

重要な活動の1つは地域の課題解決に向けた仕組み作り。「岡山市民の方々に協働の意義を認知頂くためにも、課題解決と直接結びつくモデル事業の推進は非常に重要」だと、高平さんは語ります。このモデル形成のために、高平さんたちは、市民活動に参画される人々の人材育成に取り組むとともに、ワークショップの開催を通じて、参加者同士で地域の問題を再確認し、対処する方法について分析します。その活動は「具体的にどのような計画に基づき活動すれば良いのか」、「役割分担をどのように割り振れば良いのか」といった事業の立案にまでおよびます。そして、そこには行政機関との連携も含まれます。具体的なアクションを実現させるためには、行政機関からの助成金を始めとする各種の支援は欠かせません。

 

こうした活動を促進させ、行政、民間企業、個人、NPO法人などの様々な主体同士の協働を実現させることが、高平さんの役割です。以下の高平さんのご発言に、その全てが要約されています。

 

「コーディネーター機関としての私たちの役割はまさに裏方そのもの。協働にご参加いただく皆様が、スムーズに計画を立案していくために、脚本、配役、資金・資源調達、ネットワーク形成などに努力する。地域の課題解決に向けて、少しでも道を切り開いて行くことができれば、と考えている」

 

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【参考資料】

ESD・市民協働推進センターの主な活動内容は、@市民協働推進事業、A地域協働支援事業及びBESDプロジェクト普及・促進事業の3つに分類されます。同センターの機能のイメージ図及びセンターの構成とあわせて下記をご確認下さい。

 

ESD・市民協働推進センターの紹介

http://www.okayama-tbox.jp/kyoudou/pages/7673
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2. ESD市民協働推進センター


上記で述べたとおり、ESD・市民協働推進センターは岡山市の条例に基づいて設置されている組織。高平さんは、様々な主体の関与する協働を実現していくためにも「条例が改正され、当センターの活動が、きちんと位置づけられたことは非常に大きい」と述べます。

 

同センターは岡山市役所市民協働部に所属します。「市民社会組織」や企業などの様々な方々の意見を行政に伝え、地域の課題を解決していくためにも岡山市役所との連携が不可欠。高平さんは市民協働部を始めとする関係各機関との話し合いの際にも、自分たちの立ち位置―行政と市民社会組織を始めとする民間との橋渡しができる立場―が重要だと言います。岡山市役所との折衝にあたっては、高平さんは「必ずしも岡山市から言われたことだけを事業として行っているわけではない。条例において「対等の原則」が定められているように受託者側も意見や意志をはっきりと表明するようにしている」と力を込めます。また「市役所内部に事務所を構えていることも、行政との密接な連携が可能な1つの要因」だと高平さんは述べます。

 

ところで、なぜ、岡山市には条例に位置づけられる形でセンターが誕生したのでしょうか。設立の経緯について語る際に、高平さんは、そもそも「岡山市の協働分野は全国的にみて、先進的な地域とは言えなかった」と述べます。その状況が変化し、現在のような組織の設立にまで至った要因は複合的なもの。

 

2009年に岡山市が政令指定都市に指定され、他の都市と比べて協働分野の遅れが明らかになったこと。2012年に岡山市所在のNPO法人の管轄権限が、岡山県から同市に移譲されたこと。岡山市の協働を巡る課題について地元新聞社が多く取り上げたこと。「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」が2014年に同市で開催され、市民の力が必要だと考える世論を後押ししたこと。2013年の市長選のトピックとして協働の問題が取り上げられたこと。岡山NPOセンターを始めとする様々なNPO法人による協働の実現に向けて長年に渡って努力してきたこと。そして最後は、高平さん曰く、関係者皆さんの思いが生んだ「勢い」。このような経緯によって、全国でも珍しい形での協働を目指す取り組みが、始まりました。


3. 外国人支援について

 

岡山県全体における在留外国人数は約28,000人。そのうち岡山市に居住する外国人の方は約13,000人を数え県内最多です(両者ともに2018年末時点)。このことについて指摘すると、高平さんから「実は、岡山県全域でも技能実習生をはじめとする外国人の市民の方が増えてきており、様々な地域に居住している。既存の住民と外国人市民の双方からコミュニケーションに関する不安などが聞かれるようになっている」との回答がありました。

 

高平さんは、センターの事業の1つとして「岡山県内の地域の公民館から外国住民と地域住民との交流事業を企画したいとの相談を受け、地域の交流事業などにコーディネーターを派遣したこともある」と述べます。加えて高平さんは「公民館のなかには外国人支援の一環としてフードバンク事業を実施する」とし、「行政でも市民でもなく、公民館がこのような事業を行っていることに、外国人支援に関する岡山市の特徴があるのかも知れない」と指摘します。岡山県岡山市もまた、長野県飯田市と同様に、公民館活動の伝統が強い地域の1つ。高平さんの発言はそのことを示す証左と言えるのかもしれません。


4. 災害ボランティアセンターの運営について


最後に伺ったのは岡山NPOセンターのお立場からのお話です。現在、高平さんたちは、災害時の対応に力を入れています。具体的には、岡山NPOセンターは、岡山市役所、社会福祉協議会と協力し、災害ボランティアセンターの運営に携わっています。

 

きっかけとなったのは、2018年に西日本を襲った集中豪雨。岡山市も例外ではなく、大きな被害が出ました。高平さんは、災害ボランティアセンターへの協力を通じて「外国籍の方、障害を有する方、子どもを有する保護者の方など、災害時の公的支援から漏れてしまう特定少数の方々への支援に役立つことができれば」と述べます。その際に注目しているのがITの導入。高平さんは「我々の活動の大きな特徴の1つはスピード感。行政と相互補完する形で役割を担っていきたい」と言い、「現在は新型コロナの影響もあり、十分な話し合いを持てていないが、今後さらに力を込めていきたい」と続けます。

 

20146月の設置以来、ESD・市民協働推進センターで役割を果たし続ける岡山NPOセンター。特徴ある様々な団体を結びつけ、1つの目標に向けて努力する協働の実現には、時間と労力がかかるもの。活動を継続していくにあたって、同センターとして「今後の人材育成が1つの課題」だと高平さんは述べます。しかし、長く深い経験によって裏打ちされたお話11つを伺うたびに、そうした課題ですら乗り越えていきそうな躍動感を感じました。



            
            ↑「協働のまちづくり条例」改正記念行事の様子