市民国際プラザ

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第20回自治体とNGO/NPOの連携推進セミナー 開催報告
多文化共生×国際協力
日本は持続可能な共生社会をつくれるか?〜世界に求められる基準『エシカル』とは〜2020オリンピック・パラリンピックの調達コードからSDGsを具体的に!

 

開催日:平成29721日(金) 13001730

会場:(一財)自治体国際化協会 大会議室  

    (東京都千代田区麹町1−7相互半蔵門ビル1階)

参加者数:38名(自治体、地域国際化協会、NGONPO、企業等、関係者)※クレア職員・スタッフ含51

 

はじめに


(一財)自治体国際化協会 市民国際プラザでは、自治体等とNGO/NPOの連携・協働の促進を図ること

で、より多くの連携事業が生まれ、国内外の課題解決に繋がることを期待し、自治体とNGO/NPOの連携推進セミナーを継続的に開催しています。


20回自治体とNGO/NPOの連携推進セミナーでは、2020東京オリンピック・パラリンピックの調達コードを契機に持続可能な共生社会および多文化共生と国際協力を「エシカル」の視点から考える機会としました。

エシカル(ethical)とは、「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞で、「倫理的=環境保全や社会貢献」という意味合いで用いられる事が多く、欧米では倫理的消費(ethical consumption)や倫理的調達(ethical sourcing)が主流化されつつあります。

2012年のロンドン大会はロンドン大会組織委員会(LOCOG)が「持続可能なオリンピック」を目指して「持続可能なロンドン2012委員会」を定め、NGOや専門団体などさまざまなステークホルダーの関与を得ながら運営面はもちろん、調達においても厳密で包括的な調達基準(LOCOG Sustainable Sourcing Code)を作り、環境面、社会面に配慮した製品とサービスを用いるよう徹底したことで「最も持続可能なオリンピック」('ethical' Olympics)と評価されたと言われています。

いまエシカルな大会運営は国際基準化しつつあり、次回の東京大会でもこれらの実施が求められていることから2020年に迎える東京大会を好機と捉え、本セミナーではエシカルで持続可能なまちづくりについて考えました。

 

  基調講演

日本は持続可能な共生社会をつくれるか?−世界に求められる基準エシカルとSDGsとは
東京大学名誉教授 (一社)日本エシカル推進協議会 会長 山本 良一 氏



 

まず始めに申し上げたいことは、地球環境が非常に危機的な状況下にあるということです。

この問題の解決には国際的な目標である「SDGs」がありますが、17の目標全てを1つの組織で実施することは現実的に困難です。そこで本日は、エシカル消費を進めることで目標に貢献できるというお話をします。

  

地球は深刻且つ危機的状況にある

私は過去に「温暖化地獄3部作」を出版し、このままいけば地球温暖化が進み、地獄のような世界が待ち受けている事を警告してきました。

人類が作物のために占有している土地は南アメリカ大陸に匹敵し、放牧地のために占有している土地はアフリカ大陸に匹敵すると言われています。更にこのままいけば人類は2025年までに地球の5割の土地を占有することとなり、これが地球生態系の臨界点となるでしょう。

過去1万1千年前は(かん)新世(しんせい)で気候が安定してきましたが、今は(ひと)新世(しんせい)に入り地球システム変化しています。世界の平均気温は170倍のペース、大気中のCO2濃度は550倍、生物絶滅速度は10100倍速くなっているのです。

世界の肉の生産と輸送によって温室効果ガスの24%が排出され、生物種絶滅の60%が肉食によってもたらされています。人類は他の生物がいなければ生き延びることは出来ません。生態系が絶滅すれば人類の生存も危うくなると、アメリカの科学者Edoword.O.Willsom氏は地球の半分を自然保護区にせよと警鐘を鳴らしています。

2014年から2016年と過去最高気温を記録し続け、この2年間で0.25℃と猛烈なスピードで温暖化が進行していますが、このままでは2024年までに1.5℃、2036年までに2.0℃の上昇は免れないと多くの科学者によって予測されています。中には既に臨界点を超え、地獄に入ったとみている科学者もおり、ケンブリッジ大学のピーター・ワダムズ教授は北極海氷が2040年に消滅するとレポートを発表しています。

多くの科学者が警鐘を鳴らし、このままいけば10億人しか生き残れないと訴えているにも関わらず、日本では全く報道されていません。80名余の神学者、倫理学者、宗教指導者が化石燃料への投資を止めて再生可能エネルギーへ投資することを支持する声明へ署名し、それに追随する運動が起きています。ハーバード大学やケンブリッジ大学を含む全世界の54の大学がDivestment Commitments(投資撤退)を表明しています。

 

上記を踏まえると、「地球的境界」と「社会的境界」のどちらも満たさなければならないということが分かります。一方で地球的問題と社会的問題がなぜ起きたのかと言えば、それは「私たち自身の心のあり方に最大の要因がある」と言えます。つまり、「精神的境界」があり、私たち自身が持続可能な精神に変革しない限り「地球的問題」と「社会的問題」は根本的には解決しないのです。

 

日本と世界をとりまく状況−日本は世界規準に遅れを取っている!?

2015年にパリ協定が策定され、2℃ターゲットを守るために2015年よりはCO2を年率3%、2025年からは年率8%、全世界で削減する必要があると提示されました。その一方で、2014年から2016年まで3年連続でCO2の排出量は横ばいをみせ、既に年率3%削減は達成できていません。

今年の世界経済フォーラムでも「起きる可能性が高い5大リスク」として、極端な気象や大規模な非自発的移民、大規模自然災害を挙げられています。

また60種の金属についてのリサイクル率を見ると、ほとんどの金属はリサイクルされていない事がわかります。非生物系、生物系の全材料消費量は12001370億トン(2000年)から16001750億トン(2010年)に増加しており、世界の持続可能な資源消費のために、2050年までに先進国は一人当たりの資源消費を半分に減らさなければならないのです。

つまり、CO2の排出量は8割削減、資源の消費量は5割削減、生物種の保全のために地球上の土地の5割を明け渡すなど、激烈な私たち自身のライフスタイルと産業構造の変革が必要ですが、政治家も行政もまったく取り合わない上、残念ながらメディアも科学者の言っていることを伝えていません。

 

私たちはこの20年間、環境効率と資源生産性を410倍高める運動をしてきました。また、OxfamKate Raworth氏は地球的境界と社会的境界を守る為ためには、私たちのライフスタイルと産業構造を変えることを主張し、持続可能な開発目標(SDGs)は私たちの地球的境界と社会的境界を守るターゲットになると紹介しています。

そこで、日本の取組みが気になるところですが、あるドイツの財団の調査によれば、ジェンダー平等、エネルギー、パートナーシップ、陸の豊かさ、海の豊かさなど、特に気候変動に重要な部分で日本は対応が遅れているという調査結果が出ています。

それでは、どうすれば良いのか?その答えとして、利他的消費を伸ばすことが必要だと言えます。それがエシカル(倫理的)消費、言い換えれば持続可能な消費となるのです。倫理的消費を伸ばし強欲・利己的な消費を自粛する事の可否で、人類と地球声明の運命が決まると言えます。

 

消費者庁の調査によれば、倫理的消費は「環境への配慮」、「社会への配慮」、「地域への配慮」と分類されています。「環境への配慮」の内容はグリーン購入、自然エネルギー利用、エコマーク付き製品、有機農産物、動物福祉製品、国産材、車のレンタル・シェア、エコホテルFSCMSCRSPO認証製品などがあります。「社会への配慮」については、障害者の作った製品、製品の製造段階・流通段階で児童労働などの社会問題や環境問題に配慮した製品(エシカルファッション)、フェアトレード製品、寄付付き製品、社会的責任投資などが挙げられます。また「地域への配慮」として地産地消、地元商店での買い物、応援消費などがあります。これらは「連帯経済」を伸ばすことを目的とした発想です。

フランスでは連帯経済法という法律があり、連帯経済がフランスのGDP10%に達しています。

その点、日本は出遅れています。消費者庁の報告会タイトルでも「あなたの消費が未来を変える」と掲げていますが、残念ながら主流になっていません。しかし、私はやり方が良くないと考えています。どの商品、どの企業が、どの程度エシカルかという情報が市民にいきわたっていない事に要因があり、より容易に情報が整理されれば、消費者は自ずとエシカルな消費に移行すると考えています。


アニマルウェルフェア、フェアトレード、MSC認証

私は30年間グリーン購入に携わってきました。グリーン購入の基本原則を展開してきましたが、根本的にグリーン購入を徹底できていません。

また、アニマルウェルフェアの日本水準は遅れています。驚くことにロンドン、リオのオリンピックと比べて東京オリンピックのアニマルウェルフェアは低下する事が懸念されています。

その背景として日本はEU、アメリカ、韓国と比べ動物実験に関する法律レベルの規制が実質上なく、規制がゆるい国であるからです。違法伐採についても今年の5月にグリーンウッド法が漸く施行され、違法漁業についても東京オリンピック・パラリンピックに間に合わせるために「PSMA協定」を国会で批准したばかりです。

「国連グローバル・コンパクトの10原則」では、「世界には現代奴隷が2100万人おり、75カ国、139製品が児童労働・強制労働によって作られている。私たちは調達の際に、金、コットン、砂糖キビなどの場合、非常に注意しなければならない。」と提示されています。

日本の国際フェアトレード認証製品のマーケットは100億円程度まで成長しましたが、全世界のマーケットの1%程度で、日本の経済規模から考えるとまだ非常に小さいと言えます。公共調達におけるフェアトレードについては、世界27カ国、1,802の自治体がフェアトレードタウンに認定されていますが、日本ではまだ熊本市、名古屋市、逗子市の3箇所だけです。

また、残念ながら自然界に迷惑をかけない、または社会的問題を引き起こさないということだけでなく、貧困問題や児童労働問題を解決する方向に動いていないことが明らかになっています。

 

ロンドンオリンピック・パラリンピックではオリンピック開催期間中に、フェアトレードバナナ1000万本、フェアトレード紅茶750万杯、フェアトレードコーヒー1400万杯提供されました。東京オリンピックで私たちはそれができるのかどうか心配しています。東京オリンピック・パラリンピックをきっかけにフェアトレード商品が沢山流通するような社会、或いはエシカル意識を普及していく必要があります。

MSC認証取得漁業では、世界に309 の認証取得漁業がある中、日本におけるMSC認証は京都府機船底曳網漁業連合会(アカガレイ)を含め3例しかなく、あまりにも少ないと言えます。日本の海のエコラベルは国際的な基準に照らし合わせると全く信頼性が低い事がわかります。

そこで、水産庁が全力をあげて来年までに日本の海のエコラベルの認証基準を国際水準にまで高めようとしています。

東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて−エシカル消費の推進

これらの状況下で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(以下、東京オリ・パラ組織委員会)が「持続可能な調達コード」を今年の324日に公表し、インパクトが日本の社会に現れています。

イオンは4月に「イオン持続可能な調達方針 2020年目標」を発表しました。例えば、水産物についてはMSCASCの流通・加工認証(CoC)の100%取得をめざしています。紙・パルプ・木材、パーム油についても東京オリ・パラ組織委員会の持続可能な調達コードに見合う目標を掲げつつあります。

東京オリ・パラ開催に向け、エシカル消費が進まないことのリスクが分析されています。エシカル消費が進まなければ環境問題、社会問題が解決されず、国全体のリスクとなります。企業にとっては評判、調達、財務、市場、法的リスクがあるのです。社会にとっては、日本社会や日本人の評判が落ちる、知らないうちに加害者になってしまう、日本企業が国際的な競争力を失う、観光客が来なくなるということが挙げられます。

実際にGreenpeaceGlobal WitnessRainforest Action Networkなどが、企業のエシカル度を評価し、エシカルで無い企業を批判する事でエシカルな企業に投資が集まるよう行動をとっています。

日本においても2012年に「消費者教育推進法」が成立し「消費者市民社会を目指す」としていますが、先述の通り、温暖化の問題、資源利用の問題、更には生物の大虐殺の問題、様々な社会的差別の問題、貧富の格差の問題など、いずれをとっても残念ながら日本国民はそれぞれの社会的責任を自覚しているとは言えません。

しかし、今ここで立ち上がらなければ、20年以内には大変な事態に遭遇することは科学的に証明されており、私もそうなるであろうと確信しています。

 

消費者庁の調査によれば、エシカル商品・サービスを購入しない理由には1位から「信頼できない」、「高価」、「商品・サービスの多種性」の順があるようです。また、エシカル消費に関連する言葉の認知状況においては、1位から「エコ」、「ロハス」、「フェアトレード」、「サステナビリティ」で「エシカル消費」は5位でした。

調査したところ、情報化社会の弊害というべき情報過多の問題が露呈しました。200以上のエシカルラベルがあり、消費者がどのラベルがどの程度透明性・信頼性が高いのかわからない状況であることが分かったのです。そこで、国際標準機構(ISO)が「JWG49」という委員会を作り、20179月からエシカル認証ラベルの整理を行い、新たなISOの基準を作ることを開始する予定としています。

 

この潮流の中、2017226日に「徳島エシカル宣言」が発表されました。徳島県はエシカル推進にとても熱心で「エシカル消費推進会議」を徳島に作り、エシカル消費を推進しています。

先日、東京都の小池知事と面会し、サスティナブル・ビジネス・ウィメンと日本エシカル推進協議会の共同で東京都に要望書を提出しました。2020年オリンピック・パラリンピック大会に間に合うように「東京都エシカル都市宣言」をして欲しいと期待しています。


  話題提供

持続可能性に配慮した2020年東京大会−調達コードについて

(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会 組織委員会 大会準備運営第一局

持続可能性部長 田中 丈夫 氏

                          

 

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(以下、東京オリ・パラ組織委員会)では持続可能性に配慮した取組みとして、運営計画や調達コードがあり、それらをもとに具体的な取り組みを進めていきたいと思っています。この東京オリンピック・パラリンピック大会をきっかけに世の中を持続可能性に配慮した社会に変えるために、皆様のご協力が必要だと思っています。

 

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会とは

まず東京オリ・パラ組織委員会の職員ですが、現在は1,000人を超える規模になっており、職員のうち3割は民間企業のパートナー会社からの派遣、3割が東京都と自治体、その他2割が国などからの派遣で構成されています。組織委員会には52の機能別に分かれたファンクションエリアがあり、そのひとつに「持続可能ファンクションエリア」があります。

東京オリンピック・パラリンピック大会はメガスポーツイベントとしてだけではなく、分野的な広がりや地域的な広がり、また時間的な広がりとして2020年以降のレガシーを残すことも目指しています。広がりのある取り組みを進めるための5本柱として、「スポーツ・健康」、「文化・教育」、「復興・オールジャパン・世界への発信」、「街づくり・持続可能性」、「経済・テクノロジー」を掲げ、有識者を交え具体的な取り組みを検討・実施しています。

 

大会ビジョンとして「スポーツには世界と未来を変える力がある」を掲げております。スポーツの力で世界と未来を持続可能な社会にしていこうということです。基本コンセプトには「全員が自己ベスト」、「多様性と調和」、「未来への継承」があり、多文化共生も視野に入れ具体的な取組みを検討しています。

ここでオリンピック・パラリンピック大会の規模をイメージしていただくために、ロンドン大会の実績の説明をします。参加するアスリート数は、オリンピック大会が10,500名、パラリンピック大会が4,237名、選手村のメインダイニングにおける食事提供数は120万食、大会全体の食事の提供数は2000万食、ロンドンを訪れた観客数は2,000万人、ボランティア数は7.8万人、大会スタッフ数は6,000人でした。大会スタッフ数は東京大会では多くなり、7,000人以上の規模になる予定です。経済取引の総額は2.2兆円、東京でもかなり大きな経済取引が期待されます。

 

 「持続可能性・サステナビリティ」とは、『将来世代のことを考えて、「環境保護」や「社会的包摂」、「経済成長」の調和(バランス)を考慮した行動を選択しましょう』ということがコンセプトです。20159月に国連で「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されましたが、スポーツもこの目標達成のための重要なツールであることが明記されており、バッハ会長自ら国連でスピーチを行っています。東京オリ・パラ組織委員会もこの「SDGs」を軸に大会運営計画を検討しているところです。

オリンピックは世界最大規模のスポーツイベントであり、その開催はスポーツ分野だけでなく、社会・経済等の多岐にわたり影響を及ぼす一大事業です。

国際オリンピック委員会(IOC)は1990年に「スポーツ」「文化」に加え、「環境」をオリンピック・ムーブメントの第3の柱とすることを宣言しました。また、201412月に採択した「オリンピック・アジェンダ2020Olympic Agenda 2020)」に持続可能性に関する取組みが明記され、オリンピックにおいて持続可能性を重視する姿勢が打ち出されました。これらを踏まえ東京大会が行われますが、持続可能性の概念として環境だけでなく人権問題や労働問題への配慮や、サプライチェーンの管理にも意義が拡大しています。

オリンピック・パラリンピックは世界中の注目を集めるイベントであり、NGONPOを含め多くの人々が強い関心を持つため、私たちも透明性を高め、しっかりと伝えていく努力をしているところです。

 

東京オリ・パラ組織委員会では持続可能に配慮した運営計画を作成しております。これは東京大会を運営するにあたり、具体的にどのように持続可能性へ配慮するべきかについて、方針や数値目標、具体的な施策を明記しているものです。東京大会は組織委員会だけでなく東京都や国と連携しており、棲み分けとして東京都と国は大会後に残る恒設施設を担当し、組織委員会は仮設の部分と運営を担当しています。

この運営計画は、@気候変動(カーボンマネジメント)、A資源管理、B大気・水・緑・生物多様性、C人権・労働・公正な事業慣行等への配慮、D参加・協働、情報発信(エンゲージメント)5つの主要テーマで構成していますが、本日は特にCO2に関した部分を取上げます。

脱炭素社会の礎を築くため、また山本先生のお話にあった温暖化地獄を回避するためにどうすれば良いか、具体的にどの程度のCO2が排出されるか計算をしているところです。ロンドン大会、リオ大会でも同様に計算しております。東京大会ではオリンピックパークを作らないため、ロンドン大会・リオ大会と比べ、CO2排出量は少なくなると考えられます。

現在はCO2の排出量を踏まえ、建物の省エネルギー化や、再生可能性エネルギー導入による排出削減などの具体的な取組みを検討しているところです。

人権・労働分野についてはILOなどとの連携を通じた取組みを検討しております。また、計画の実現に向けて持続可能なマネジメントツールとしてISO20121の導入し、適切な大会運営をしていく計画です。

持続可能性に配慮した調達コードとは

「持続可能性に配慮した調達コード」は、環境問題や人権・労働問題に配慮した調達をするための基準を設定しています。物品やサービスの調達において持続可能性に配慮した調達を行うことで、大会の運営主体として社会的責任を果たすとともに、広く社会に持続可能性を重視する姿勢が定着するよう促していきます。

 

具体的な基準として、全般事項には法令の遵守、環境、人権、労働、経済について定めています。また基準を設けるだけでなく、調達コードの実行性を確保していくための担保方法や苦情処理の仕組みとして、調達コードの不遵守に関する通報を受け付ける窓口の設置や、サプライチェーンの中で労働等の被害にあった方を救済する仕組みなどは現在整えているところです。

 

物品ごとの調達基準としては、木材、農産物、畜産物、水産物に関して既に策定し公表しています。今後は、紙とパーム油について今年度を目標に検討を進めているところです。

具体的な調達コードの内容は、「ネガティブな影響の防止」と「ポジティブな影響の促進」の2つの側面に分かれています。「ネガティブな影響の防止」については法令の遵守が前提であり、環境においては大気や水質の汚染防止や、人権においては差別やハラスメントの禁止などが挙げられます。

「ポジティブな影響の促進」については、省エネの推進や女性の社会参加の推進、あるいはLGBTの方の職場の環境整備などがあるでしょう。

現在、調達コードの遵守を担保するため、サプライヤー候補からのコミットメントや具体的な取組状況を示していただくチェックシートの作成を進めています。また、リスクが高いと予想されるサプライヤーへは監査やモニタリングを行うことも検しているところです。

 

木材と食材における具体的な調達基準の基本を説明します。木材の調達基準については、要件としては法令を遵守しているか、林業を維持するための経営計画があるか、環境に配慮したものか、人権・労働に配慮したものかといったことを定めています。そしてその要件を満たす認証としては、FSCPEFCSGECを認めています。また、認証材以外についても確認方法を設けたり、国産品を優先するといった基準を示しています。

 

農産物、畜産物、水産物についても、安全面、環境面、生産者者の労働安全面の要件を設置しています。

  それら要件を満たす認証スキームとしてJGAP AdvanceGLOBALG.A.P.を認めています。またGAPガイドラインに準拠したものを都道府県などが確認したものについても認めています。また要件を満たした上でオーガニックやいわゆる「農福連携」(「農業」と「福祉」の連携)といわれる商品を推奨し、国産品については優先するといった基準を定めています。

  調達コードと同時に飲食の提供戦略も検討しています。飲食のサービスでは、具体的にどのような場所/形態で食事を提供するか、また選手への栄養面や安全面の配慮や宗教的な慣習への配慮などを含め、来年の3月までに飲食の基本戦略の公表を予定しています。なお、東京オリ・パラ組織委員会の検討会や会議体についてはほとんど公表されていますので、具体的な内容はホームページ上で確認ください。

  

最後に、東京だけでなく、ALL JAPANで東京大会を盛り上げていく取組みのひとつとして「東京2020参画プログラム」において「応援マーク」を設置しています。登録すれば、非営利セクターが実施するイベントやその案内文等に、参画プログラムの応援マークを使用できます。既にホームページ上から応募が可能ですので是非ご活用ください。

https://participation.tokyo2020.jp/jp/organizer/

 

  ケーススタディ1

フェアトレードシティ目指す『エシカル』を切り口にした浜松のチャレンジ!

 静岡文化芸術大学 文化政策学部 国際文化学科  教授 下澤 嶽 氏

                          
 

本日は浜松のフェアトレードタウンやフェアトレード大学の動きがどのように始まったかをご紹介します。

初めて大学教授として仕事を始めるにあたり、学生との場作りが大きなテーマでした。

そして、これまで二十数年間東京のNGOで働いてきた立場から浜松に身を置いた事で、日本のNGOが東京に一点集中しており、特殊な世界にあることを改めて実感する事になりました。と申しますのも、浜松では寄付文化という概念がなく、東京と比較すると10倍、20倍も寄付への意識が低い事がみえてきました。従って、人を雇用できるNGOは行政企画のものに限られていました。さらに寄付文化の習慣や実例が無い事から、学生が関われる国際協力が何かを模索した結果、フェアトレードに行き着き、そこからフェアトレードを取り巻く環境やネットワーク調査を開始しました。最初は一軒一軒を訪問し、フェアトレードの現状と過去の軌跡を探す調査を実施し、並行して大学でフェアトレードのサークルを立上げました。

 

以前勤めていたシャプラニールという老舗NGOは、日本で始めてフェアトレードを始めた団体と言われていたことから名古屋や大阪など各地にフェアトレード関係者とのお付き合いはあったものの、実際に始めてみると人口80万人の浜松では、2011年の段階では極めて厳しい状態でした。「大丈夫ですか?やっていけますか?あと何年くらいやりますか?」と尋ねると、「私は毎日辞めたいと思っていますよ、下澤さん。」と仰る経営者の方が殆どで、厳しい現場だと改めて感じた1年目でした。

 

その次に、浜松は民間企業の多い街という事から企業のCSRの調査をしました。しかし、結果は地域を支えるほどのCSRはそれ程行われておらず「貧弱」であるという印象でした。

そこで、「浜松地産地消会議」を関係者で発足しました。また、消費者教育法に基づく協議会が浜松市に設置された事でエシカル消費との関係も深くなっていきました。「浜松地産地消会議」はエシカルな消費と同じ概念で、トラディッショナルタウンの方々を招いて地域経済とは何か、地域の人々を最大限活用するビジネスは何かを協議しあう会議を開催したところ反響があり200名程度の参加者がありました。

フェアトレードの本格展開を検討するにあたり、まずはラベル商品を中心に進めようと考えました。当時フェアトレードショップ専門店は浜松に1店舗だけありましたが、ほぼ倒産寸前で他の店舗はオーガニックなどの製品を取り扱っている片隅にフェアトレード商品が数点ある、或いはピープルツリーのチョコレートがある程度でした。

その一方でラベルの広がりを耳にするようになり、2015年から調査を開始し「浜松フェアトレードマップ」を作成したところ、かなりの数のフェアトレード商品が大きな流通経路で出回っておりフェアトレードタウン認定取得の可能性を感じ始めました。

調査中、地域で最も多くフェアトレード商品を取扱っている店舗が地元のイオンであることが分かり、浜松フェアトレードタウンへの協力を依頼したところ地元のオーガニック商品を扱う店舗と共同でイオンに出展するなど、学生も巻込んだ良い広がりに繋がりました。さらに、地産池消など地元でオーガニック野菜を売り始めるなど、徐々にスピードが出てきました。

  

20176月に浜松市でフェアトレードタウン宣言、静岡文化芸術大学でもフェアトレード大学の申請をしております。集中度が高まったのはここ3年で非常に活発になっています。具体的には、学生サークルを作り、学生とイオンへ調査、駅前カフェへ食べるボランティア、地元の中学生向けにフェアトレードの授業を学生で実施、フェアトレードの砂糖で作ったクッキーの共同開発などを行っています。

また、2015年の調査では熊本や名古屋を訪問し大学生協でフェアトレード商品の取扱いなど進めました。地元でフェアトレードの精神が根付いてきた事や浜松市のエシカル消費に対する後押しがあったことから、企業側も想定していた以上にラベル商品の提供をしており、身近にフェアトレードラベル商品が手に入り易くなった事が今回のフェアトレードタウン認定に向けた活動の大きな後押しとなりました。

いま有志で作ったはままつフェアトレードネットワークに学生が積極的に関わった事でPRも強化され、フェアトレードとオーガニック商品が寄せ合うようにして集まり、両者の良好な協働関係が生まれつつあります。更にいまは、地産地消など地元循環型経済にどのように活かすかという次のステップで議論しています。

フェアトレードタウンの認定が取れた後、特に地産地消をどのように取扱いできるか模索していますが、悩ましい事がいくつもあります。

 

イギリスでも同様でしたが、ラベルのメッセージ力は極めて低いといえます。店頭にラベル商品が陳列されていても、殆どの顧客が気付かない或いは販売員自身も知らない事が通常です。従って、今後ラベルは置いておくだけではなく、POPを用意するなどメッセージ力を高めるための販売店側の協力も必要になってくると言えます。

またオリジナル商品については、浜松は日系ブラジル人が多く、約15,000の方々が近隣の工場で就業している事から、出来ればブラジル繋がりの商品を用意したいと考えています。

また地産地消に関しては人によって定義が様々且つ幅広いため、どこまでをフェアトレードとして取り扱えるのか研究しています。例えば、地元で取れた野菜であれば、地産地消として連携して良いのか、フェアトレードと相性の良い地産地消の定義を以下のように考えています。

・生態系:生物多様性保全する

・健康:食品の安全性

・公正:生産者、労働者にやさしい

・文化:地域の文化を大切にする

・情報の公開:トレーサビリティ

 

 今後はイベントの開催などを検討しており、大学では浜松野菜収穫隊として大学生協で無農薬野菜の販売を行う活動などを行っていく予定です。


  ケーススタディ2

ハラルフード+アレルギー、ベジタリアン対応など食で考える人権と地域活性化

一般社団法人ハラル・ジャパン協会 代表理事 佐久間 朋宏 氏


                           


 ハラル・ジャパン協会は認証機関ではなく、企業などにイスラム教やハラル認証についてマスターしていただき、輸出や輸入、インバウンドの支援により地域を活性化出来ないかと考え設立した団体です。

世界人口の4分の1、約18億5千万人がイスラム教徒です。2030年にはキリスト教を抜いて世界最大の宗教になると言われています。2060年には世界人口の3分の1がイスラム教徒になると言われています。将来的に人口が増えて所得が上がる、つまり現在は貧困の方も多いエリアと言えるという事です。決して砂漠や熱帯雨林の宗教という訳ではなく、中国やロシア、アメリカ、ヨーロッパにも多くいると理解してください。そこで、イスラム教徒に向けたハラルビジネスというマーケットが存在する事を覚えて置いてください。

 

またムスリムの方は日本が大好きで、日本食も健康的であるという理解が広まってきました。一方で、「何が入っているのかわからない」「日本人は隠し味や秘伝の味を多用するため、中々食べられない」「運動不足により糖尿病を患っている方が多い」などの事情も抱えています。裏を返せば、素材情報を開示し糖尿病患者でも安心して食べられる日本食ハラルメニューを提供できればニーズがあることがわかります。

 

「ハラル」は食べ物の事のみを示す言葉ではなく、イスラム教徒にとって大切な言葉のひとつ(神に許された)です。「やっていいこと」時間や約束を守る、人を傷つけない等を意味します。また日本にあるもの、土や水の中から採れるものは全てハラルです。基本的には野菜、穀物、果物、魚(生魚はあまり食べないので、煮る、焼く、蒸す)、牛乳、卵はハラルとして提供が可能(宗派に寄ってより厳格な方もいます)です。従って、ハラル+ハラルはもてなしが可能になり、ハラル食品には様々な可能性があるといえます。

 

また、ハラム(神に禁じられた)は豚、豚由来のもの全てを含みます。また、肉類はイスラム法に基づいた屠畜や屠殺でないと提供できません。但し、イスラム教徒の方々が一番食べたいのはお肉であり、一方で最も気にするのもお肉なのです。

実は、来日する多くのムスリムは日本が豚製品に溢れているため、仕方なくベジタリアンとして生活を強いられます。個人単位で度合いも異なるため、一概には言えませんが、歯磨き粉やコーヒーミルク、薬のカプセルにも豚製品が取り扱われており、情報開示をする事で提供できる幅が大幅に拡がります。また、飲料用のアルコールも不可です。

 

但し、基本的に厳格なイスラム教徒はそもそも日本を旅行先として選ぶ事は少ないでしょう。いま日本を訪れるイスラム教徒は、日本の文化に触れてみようというムスリムフレンドリーが多いのです。

さて、私がハラルビジネスを始めるに至ったHAVOという考え方についてご紹介します。ハラルに対応する情報開示がされることで、アレルギーやベジタリアン、オーガニック等その他食べ物に制約のある方々も全て網羅できる点に着目しました。

つまり、例えばハラル対応非常食を用意することで、災害時にはアレルギーやベジタリアンなども他もカバーできるほか、賞味期限切れの近い非常食を発展途上国に寄贈すればイスラム圏の貧困国支援をする事も可能になり、多様な繋がりや関連性ひいてはマーケティングの可能性も見えてくると言えるのです。

 

ヨーロッパ・欧米ではハラルは安全・健康のイメージが定着しており、エシカルな(倫理的・道徳的)視点においても、ベジタリアンやハラル対応をする事でフェアトレードにも繋がってくると見られています。日本の飲食界もベジタリアン対策をする事で外国人や多様性に強くなり、マーケット拡大にも繋がるといえます。

いま日本が着目すべきは、東南アジア6億人のうちの29千万人(10カ国)の国と日本の自治体が交流を持つことが非常に大切になってきます。

現在、イスラム教の国が57カ国ある内、姉妹都市契約を結んでいる地方自治体は全国に19箇所ありました。代表的な例は、下関とイスタンブール、また東京都はエジプト カイロやインドネシア ジャカルタと姉妹都市を締結しています。訪日するイスラム教徒は現在推定2%程ですが、年々着実に増加する傾向にあります。また商品はたくさん用意されているように見えますが、実際にはまだあまり売れていません。その背景にはニーズのミスマッチが挙げられます。これから、ハラルやユニバーサルデザインに対応する食べ物、お土産、健康食品のほか、生活用品や着物などムスリムファッションまで益々幅広く増えてくると予想されます。また2020年には東京オリンピック・パラリンピックの他にもドバイ万博(中東初)の開催や、2022年にはカタールでワールドカップも開催される予定となっています。

 今後はハラルの益々のニーズ増加を見据えて対応することで、国外のマーケットにも参戦できる可能性が広がります。


  ケーススタディ3

「岡山ESDプロジェクト」で目指す持続可能な社会づくり!地域連携が生み出すパワー

 岡山市役所 市民協働局 ESD推進課 友延 栄一 氏




本日は岡山市のESDEducation for Sustainable Development)プロジェクトについてお話させていただきます。これまでのお話と少し毛色が異なりますが、これからエシカルを目指すという点も含めてお話します。

岡山ではESDの取り組みを10年ほど取組んでいます。ESDとは持続可能な開発のための教育として国連のキャンペーンとして掲げられ、持続可能な開発のための担い手を育てようという事がそもそもの考え方です。

ESDという横文字3文字ではなかなか浸透しないため、「ええ地球にしょーでぇー」や「永代の子孫まで」というフレーズに置き換えるなど工夫して岡山市内で取組んできました。因みに、ESDは教育という分野で、SDGsではゴール4番に該当します。2005年に始めに国連人間環境会議、環境保全から始まりました。 

岡山市では公民館を中心に地域課題をどのように解決できるか鍛える場として栄え、多文化共生に限らずあらゆる地域課題にどのように向き合うかという議論が多く行われています。

 

  岡山市におけるESDプロジェクトは200548組織から開始し、2017年は268組織にまで参加組織が拡大しています。活動テーマとして「環境保全」と「国際理解」からスタートしましたが、いまでは「地域コミュニティ」のかかえる身近な課題から持続可能な社会づくりを捉える支援へ重点化しています。これだけに偏ると、グローバルな視点が薄くなるため、それを補う概念としてSDGsとうまく繋げて行きたいと考えています。

 

【岡山市のESD基本構想−8つの重点取組】

  @    持続可能な地域の姿の共有

  A    ユース・人材育成

  B    地域コミュニティ・公民館でのESD推進

  C    学校のESD推進

  D    優良事例の顕彰

  E    ESD活動の拡大

  F    企業・事業者の取組み促進

  G    海外や国内との連携

 

率直に申し上げて、派手な活動や取組はありませんが、ESDに取組んでいる公民館が37個、学校で51校あり、地域の様々なところで継続実施する事を大事にしています。

@    ESDは国連大学やユネスコとの連携で実施しているため、公民館の連携としてはアジア コミュニティラーニングセンターを設置し、海外との交流も盛んに行っています。公民館はもともと社会教育施設として地域課題を解決するための学びの場であり、その時代に応じて平和教育、民主主義教育、消費者教育などが行われ活躍するべき施設であると考えています。

A    中学校には、地域課題の相談に乗る職員がそれぞれ配置されており、持続可能な開発教育を行うひとつの拠点となっています。

B    京山公民館では、大学や公民館、地域の町内会などが連携し「地域ESD推進協議会」を立ち上げ、積極的なESD推進の取組みを実施しています。また、多文化共生においても外国人居住率が高まり一方高齢化率が30%近い地域では、公民館を中心に町内会、日本語学校が連携して「多国籍防災会議」を設置し、防災時には地域に居住する多様な人々で力を合わせる必要があるとして活動しています。

C    ユネスコスクールでも51校の加盟校を中心にESD推進に取組んでいます。ESDコーディネーター配置のほか、NGO/NPOとの連携を通じて教員の海外派遣・研修等を実施しています。岡山市としては、様々な学びを通じて多様な主体を繋ぐ事が役目であると感じています。企業や、学校、NGO/NPO、学生など様々繋げています。

D    世界会議を開催した際には約100ヶ国の地域からの参加者があり、公民館を会場にしたことでムスリムの“おもてなし”のあり方を地域で検討する機会ができ、勉強会を開催するなど「持続可能なまちづくり」の契機となりました。

E    SDGsを学ぶ機会としては、市の総合計画と絡めたワークショップの開催や環境教育で取上げるなどしています。また、イオンモールで消費生活センターとエシカル消費は持続可能な社会作りESDそのものであることから、生物多様性とエシカル消費をセットにしたイベントを企画し、買い物の中のエシカル消費を体験する事等を考えています。

F    岡山でもフェアトレードタウンを推進する動きが出ており、昨年地域のフェアトレードマップを作成しました。

G    エシカル消費の観点で岡山市がどれくらい取組んでいるかを確認したところ、「環境」では岡山市グリーン購入基本方針に基づき平成14年度から運用、「人」や「社会」に配慮した消費では岡山市の障がい者就労施設などからの物品などの調達、「地域」に配慮した消費では学校給食、その他ではISO登録、グリーンカンパニー、災害時の協定締結団体、男女参画推進事業所へは競争入札参加資格の配慮。中枢連携都市圏での取組みとしては、岡山型ヘルスツーリズムの促進によるハラル認証&おもてなし基準を満たす店舗を増やすなどインドネシアやマレーシアからのインバウンドに期待しています。

 

いま取組んでいる内容をオリンピック・パラリンピックやSDGsに絡めて推進することが次のステップとして求められる事では無いかと感じています。

 

今回、岡山市の政策にSDGsを重ねてみました。岡山市の政策はSDGsに沿って策定されたものではありませんが、重ねてみる事で近い内容のものが多くありました。全体像を通して何が足りないかが見える機会となったのでそれを埋めることを今後検討して行きたいと思っています。ESDの取組みは人と人の取り組みですので小さな積み重ねですが、10年実施してきたことで地域の課題解決をするためのひとつの基盤作りになっていると感じています。これらを次にどのように繋げていけるかが、今後のステップアップの課題と言えそうです。



■パネルディスカッション

モデレーター:原田さとみ氏 NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク代表

          (一社)エシカル推進協議会 理事

 パネラー:山本 良一氏 東京大学名誉教授/(一社)日本エシカル推進協議会会長

         田中 丈夫氏 (公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会

 大会準備運営第一局 持続可能性部長

下澤  嶽氏  静岡文化芸術大学 文化政策学部 国際文化学科 教授

佐久間 朋宏氏 (一社)ハラル・ジャパン協会 代表理事 

友延 栄一氏  岡山市 市民協働局 ESD推進課 主査 


【問い】オリパラを契機に多文化共生やハラル、ESD、フェアトレードを広めることになると思いますが、いかがでしょうか?

 

【回答 山本氏】

日本の取り組みの中でも「ESD10年間もやっていて何をやっているのか」という印象を持ちます。気温上昇や気候変動が世界中で起きている中、1日で9千万トンの二酸化炭素が排出されている事実があり、さらに脱炭素、低炭素の世の中にしなくてはならないと思っています。日本政府は年間150万トン二酸化炭素を排出していますが、グリーン契約法によって40万トンしか削減できていません。一刻も早く二酸化炭素を下げなくてはならないと思います。あと20年位で地球は破局することになりますが、市民レベルでの取り組みとして岡山県では公民館でESDの取組みをしている効果はあると思います。3年以内で厳しい認識の基で社会改革を行っていくべきだと思います。

 

【問い】国際協力に市民を巻込むコツとは何でしょうか?

 

【回答 友延氏】

岡山の場合は、公民館効果は十分にあります。岡山県としては、国際貢献の枠組みがあるが、市には国際貢献の枠組みがないため、市民を巻き込むのは、特に公民館との連携が重要であり効果があるかと思います。

 

【問い】浜松の公民館いかがでしょうか?

 

【回答 下澤氏】

浜松は公民館ではなく、各地区に市民協働センターがあります。行政と住民の連携ができれば火がつくかと思います。住民の中での浸透はこれからだなと感じます。発起者や関係者のやる気を促す作業が浜松ではまず必要だと思います。

 

【問い】東京オリ・パラ開催都市である東京都は、持続可能性に配慮した調達コードを行いますか?

 

【回答 田中氏】東京都や国に対してはこの調達コードを守っていただくよう働きかけています。

 

【質問】調達行動に関して、日本の有機や作物に関してアスリートは懸念があるのではないでしょうか?

 

【回答 下澤氏】認証を与えると共に、その調査の過程では専門家などに意見を聞きながら取り決めを実施する予定です。

 

【質問】繊維製品や食材に関して、新たな基準を策定しますか?

 

【回答 田中氏】食材に関係するものとしては、パーム油の基準を作成する予定です。また繊維製品についての個別基準は作成する予定はありません。入札案件については、東京都が運営しているビジネスチャンスナビ2020に掲載されますし、そのビジネスチャンスナビ2020に事業者が登録する際に自社の取組状況をPRする機能もありますのでご活用いただければと思います。

 

【質問】フェアトレード製品などの購入を一般市民にも広く普及するには?

 

【回答 山本氏・下澤氏】生活基盤に全部取り込まなくても良いのです。大量生産が得意な大企業が参入してくる事で価格帯は下がってきています。コスト削減がうまい企業があります。

認証を取ろうとしている企業は増えてきていますが、大事なのはメッセージ性と情報開示です。

 

【質問】エシカルタウンとして10万人単位でできるのでしょうか?

 

【回答 山本氏】可能でしょう。エシカルやフェアトレードタウンへの取組みはきっかけであり、地球規模問題への取組みを進めるべきです。




◆おわりに

今回のセミナーは、いま地球環境が非常に深刻な状況下にあるにも拘らず、日本は意識や制度面で世界水準から大幅に遅れを取っているという衝撃の事実を突き付けられるところから始まり、何故いま私たち一人ひとりが「持続可能な社会」に向き合わねばならないのか再認識する機会となりました。

2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、持続可能な開発目標(SDGs)を軸に大会運営が計画されていることから、国内でもエシカルな社会基盤創りの動きが広がることが期待されます。

   今回のセミナーではSDGs、エシカル、フェアトレード、ハラール、ESDなど様々なキーワードが出てきましたが、一見無関係に見える分野でも実は繋がっている事を実感しました。パネルディスカッションでも、講師同士が新たな連携の可能性を感じさせる場面もあり、今後の地域活動の広がりへも期待が膨らみました。

エシカルな大会運営は、国際社会における日本の真価が問われる重要な機会となるでしょう。




 

 

 

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