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『地域も元気!世界も元気!』 団体活動インタビュー

(特活)環境修復保全機構(ERECON)<前編>

<お話を伺ったスタッフの方>

環境修復保全機構

国際環境協力専門家 河邊久美子さん

河邊さんからのメッセージ

「NGOサポート募金でいただいたご寄付は、エリ蚕(野蚕の一種)の普及を通じた農村の環境保全活動等に有効に活用しています。この活動は、市民の皆様のご協力に支えられています。ご支援に、心から感謝申し上げます。」

アジアにおける開発と環境との調和をめざして

環境修復保全機構(ERECON)は、"自分たちの研究成果を現地農家に還元することはできないのか?" そのような研究者グループの思いから活動をはじめましたが、現在では 専任のファシリテーターを中心とし、カンボジア国・タイ国・フィリピン国等のアジア諸国において自然資源の持続的利用に寄与する環境修復保全活動等に取り組んでいます 。

また、国際連合大学高等研究所や日本国環境省が中心となって進め、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において創設されたInternational Partnership of SATOYAMA Initiatives(IPSI)の設立メンバーとして、人々の暮らしや生物多様性を守る国際的な取り組みにも積極的に参加しています。

今回は、専門家として、カンボジア国首都近郊においてエリ蚕の普及を通した環境保全型農業の推進に取り組む河邊さんにお話を伺いました。

環境修復保全機構

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ発足式の様子

“気づき”のためのエリ蚕

皆さんは、"えりさん"(エリ蚕)というちょっと親しみ易そうな名前の蚕をご存知でしょうか?エリ蚕はインドのアッサム地方が原種の野蚕(ワイルドシルク)で、ワイルド シルクの中で唯一、人の手によってのみ育成が可能な蚕です。河邊さんは、カンボジア国で、このエリ蚕養蚕の普及に取り組んでいます。

なぜ、エリ蚕なのか。河邊さんは、現地農家の化学農薬に対する知識不足が理由だと言います。「現地農家さんは、農薬を散布する際、普段着のまま無防備で行います。もちろん化学農薬ですから、体への健康被害が生じます。農薬利用による皮膚疾患や死亡事故も起こっています。現地農家さんも、農薬が体に悪影響を及ばすことに気づいているのでしょう。しかし、農業で生計を立てている以上、虫食いのない農産物を生産せざるを得なく、農薬の利用を止めることはなかなか出来ないのです。」と語る河邊さん。

そんな悪循環を断ち切るための"気づき"の手段として、エリ蚕が最適でした。エリ蚕は非常に繊細な生き物です。養蚕用のネットにうっすらと付着した農薬に触れただけで、エリ蚕は死んでしまいます。目の前で、自分が育てた蚕が農薬に触れ、いとも簡単に死んでしまう。その様子に、現地農家は農薬の危険性に気づき、養蚕を続けるための農薬削減に対する意識を持ってもらえるようになったのです。それは、同時に環境意識を高めることにもつながっています。

環境修復保全機構

農薬を使用する農村の人々

自然に調和するエリ蚕

「エリ蚕は人の手を介して成長しますが、自然と調和しています。」と河邊さん。エリ蚕のエサは作物を収穫した際に残るキャッサバの葉や自生しているヒマ(ひまし油の 原材料)の葉です。つまり、エサの調達にお金がかからず、エリ蚕が作物の残り物を処理してくれます。維持費用も安価で、他の農作物と競合することもありません。一般の 蚕の養蚕とは異なり、田畑を桑畑に変える必要もないわけです。

また、エリ蚕のさなぎは、食虫文化を持つカンボジア国・タイ国・ベトナム国などの東南アジア諸国において、貴重な栄養源となるのです。河邊さんは、「現地の子どもたちに、『何歳なの?』と尋ねると思ったよりも大人であることが多いのです。」と、彼らが日本の同じ年齢の子ども達に比べて体が小さいことを気にかけていて、年中手に入れることができるエリ蚕のさなぎに、栄養源としても大きな期待を寄せています。

環境修復保全機構

エリ蚕の飼育の様子

人と人を繋げるエリ蚕

河邊さんは村で、エリ蚕を飼育するためのワークショップをよく開きます。そんな時、「あれ?見ない顔がいるぞ。」と思うことがあるのだそうです。ずいぶん遠い村の人々が、河邊さんの評判を聞いてわざわざ講習会を受けにやってくるのです。そして「ぜひ、私たちの村でもやってくれないか?とにかくやりたい人がたくさんいるから、一度 来てワークショップをしてくれないか。」と頼まれることがあるそうです。こうして、エリ蚕は村から村への広がり、村を超えて人と人を繋げていくのです。

環境修復保全機構

ワークショップの様子

<インタビューを終えて>

エリ蚕という生き物を介して有機農業の大切さを知るように、自然によって自然が再確認出来るという自然共存的な姿勢は、私たちの元来の姿です。この一人一人の気づきのために、環境への配慮を、少しではあっても着実に世界へ広げていくことが出来ます。そしてこれは、持続可能な社会を創造していく上での、第一段階になり得ると思いまし た。

(JANICユース広報チーム 宮本舞)

[インタビュアー]

国際協力NGOセンター有志グループ(JANICユース)

代表 木村 彩乃

広報チーム 宮本 舞、吉田 卓弘

続きは、後編をご覧ください。

※(特活)国際協力NGOセンター(JANIC) HPのNGOスタッフインタビューで紹介している記事を掲載しています。

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