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『地域も元気!世界も元気!』 団体活動インタビュー

逗子フェアトレードタウンの会

今回は、神奈川県逗子市におけるフェアトレード普及の活動をされている、「逗子フェアトレードタウンの会」の磯野昌子さんにお話を伺いました。

<お話をうかがった方>

逗子フェアトレードタウンの会

逗子市民が集う亀ヶ岡神社にて

逗子フェアトレードタウンの会とは

逗子フェアトレードタウンの会は、神奈川県逗子市を中心にしたフェアトレードやフェアトレードタウン運動に関心を持つ市民の集いの場です。フェアトレードについての勉強会や、映画祭、ファッションショーなどのイベントを通して、フェアトレードに関心を持つ人々の横のつながりを作るとともに、市民にフェアトレードを広く知ってもらうことを目的に活動をしています。

フェアトレードとは、生産者を犠牲にしないモノづくりを世界で実現していくための活動だと思います。日本で手に入る衣服や靴の多くは、中国やバングラデシュなどの海外で作られています。その中には、例えば、中国の田舎の村から、まだ10歳くらいの女の子が一人で都会に出てきて、薄汚い工場の中に閉じ込められながら、朝から晩まで必死で働いても100円にもならない賃金しかもらえずに、作られたものかもしれないという現状があります。

もしも自分の身に着けているものや食べているものが、誰かを犠牲にして作られたものだとしたら悲しいですし、自分も幸せになれません。反対に、オーガニックの野菜を買うと自分の健康にいいだけでなく、地球環境を守る有機農業を支えることもできるというように、フェアトレード商品を選ぶことで、人に優しい社会づくりに参加できる、それがフェアトレードだと思います。

そして、フェアトレードタウンとは、市民、自治体、企業などが一体となってまちぐるみでフェアトレードを推進することを通して自分たちの暮らしと世界とのつながりを見直し、人にも地球にも優しい地域社会をつくる運動だと思います。私たちの会が大切にしていることは「フェアトレードありき」ではないことです。フェアトレードはあくまで、よりよい地域を作っていくための手段です。フェアトレードを広めること自体が私たちの目的ではなく、フェアトレードを知ることを通して自分と世界とのつながりに気づき、よりよい世界と地域のために行動する人を増やしていくことを目的に活動しています。

発足の経緯

神奈川県逗子市では、まち全体を大学のキャンパスに見立てて、まちなかのカフェや公園、駅前広場に市民の学びの場を創る「逗子まちなかアカデミー」 が、逗子市と市民との協働事業として展開されています。このアカデミーを開校するにあたり、2011年5月の「世界フェアトレードデー」に合わせて「フェアトレードのある暮らし」をテーマにしたイベントが神社境内でのコミュニティパークと、市内随一のシネマカフェにて開催されました。

イベントでは、市内のフェアトレード商品を扱っているお店の方々によるパネルディスカッションや、市内在住のフェアトレード研究者、長坂寿久先生の講演会などを行いました。このときに初めて市内のフェアトレード関係者が一堂に会し、逗子をフェアトレードタウンにしようという機運が盛り上がりました。これをきっかけにして2011年8月に「逗子フェアトレードタウンの会」が発足しました。

メンバーについて

私たちの会にはまだ会員制度や会費などはありません。活動費はメンバーからの寄付を集めて運営しています。中心で活動しているメンバーは約15名であり、店舗関係者、NGO関係者、教育関係者、主婦・主夫、サラリーマン・ウーマン等、老若男女さまざまです。

市内在住のメンバーが半分、残りの半分のメンバーは市外から参加しています。市外から参加しているメンバーには、フェアトレードと地域をつなぐ活動に関心があるものの、自分が住んでいる地域ではフェアトレードの活動がないため逗子市で体験的に学び、今後自分の地域で活動したいと考えている人もいます。

活動内容

活動としては、フェアトレードについての勉強会をはじめ、ブース出店(フェアトレード商品の委託販売)、映画祭、ファッションショー、ヨガなどを開催しています。イベントのテーマや内容によって、対象者や開催日を設定しています。イベントでは、市長や市役所職員など、多くの自治体関係者にもご参加いただいております。

イベントでのブース出店様子

イベントでのブース出店様子

市長と一緒に、民族衣装のファッションショー

市長と一緒に、民族衣装のファッションショー

活動を通して見えてきた課題

フェアトレードタウンの取組みを面白いと言ってくださる方がいる一方、フェアトレードが地域の経済や暮らしにどういった影響をもたらすのか、フェアトレードを市として(税金を投入して)盛り上げる意味はどんなところにあるのか、と批判的に問われることもあります。世界の課題を身近に考えることが大事だと言うのは簡単ですが、フェアトレードを推進することが地域社会にとって実際にどのようなメリットになるのか、という質問に具体的に答えていくことが課題であると感じています。

日本のフェアトレードタウンに認定されるためには、「地域の諸団体との連携」という基準があるため、今後は、様々な分野の団体とのの協力を通して、地域の活性化に実際に貢献できる仕組みをつくっていきたいと思っています。

今後の活動について

今までは市民にフェアトレードを知ってもらうためのイベント開催が多かったのですが、今後は、フェアトレードタウンの認証に向けて、組織作りや具体的な戦略をたてて活動したいと考えています。そのためには、市内の店にフェアトレードの商品を置いてもらうことや、学校でフェアトレードについて学ぶ場を設けてもらうなど、商工会や学校・教育委員会などへの働きかけが重要だと思っています。

また、逗子市には環境系に取り組んでいる団体が多くありますが、その他福祉系、教育系、平和系など、様々な分野で活動している市民団体と協働していきたいです。

逗子のような人口6万人弱の中小規模の市町村がフェアトレードタウンに認定されれば、今後フェアトレードタウンが増えるのではないでしょうか。私たちの活動を逗子だけにとどめず、国内外の他のフェアトレードタウン運動とつながって、大きなムーブメントをつくっていきたいと思います。

<インタビューを終えて>

写真撮影をさせていただいた場所は、イベントが開催された神社の境内でした。緑と光と風が心地よい場所でした。

「フェアトレードは完成形ではなく、プロセスであることを認めつつ、フェアな貿易が行われるよう理想に近づけていくための活動」と話してくれた磯野さん。心地よいこの場所で、美味しいものを食べたり、素敵なものを身につけたりしながら、世界の現状に目を向けるきっかけとなり、公平な社会の実現に向けての一歩が始まるのではないかと感じました。

<インタビュアー>

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齋藤斐子(JANICより派遣)

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